源泉徴収票を電話で依頼する際のポイント

 

転職や再就職、確定申告などで必要となる「源泉徴収票」。

特に前職を退職したあと、勤務先から自動的に届かないケースでは、自分で依頼しなければならない場面があります。

 

中でも、電話で依頼する方法は即時性があり便利ですが、適切なタイミングや伝えるべき情報、丁寧な言い回しなど、気をつけるポイントがいくつかあります。

 

本記事では、前職の会社に電話で源泉徴収票を依頼する方法や注意点、さらに再発行やトラブル時の対応策まで詳しく解説します。

 

前職の源泉徴収票を電話で依頼する必要性

源泉徴収票とは何か?

源泉徴収票とは、給与や賞与などにかかる所得税の源泉徴収額や支払金額、社会保険料の控除額、そしてその年に支給された総額が記載された重要な書類です。

これは企業が年末に従業員へ発行するもので、所得税の精算や年末調整、または確定申告に活用されます。

勤務していた期間中にどれだけの収入があり、どの程度の税金が天引きされたかがひと目で分かるため、自身の収支を把握するうえでも重要な資料となります。

 

また、住宅ローン控除や医療費控除など、税に関するさまざまな申請にも活用されることがあります。

 

転職や再就職における重要な役割

転職や再就職をした際、新しい勤務先で正確な年末調整を行うためには、前職の源泉徴収票が必須です。

この書類があれば、1年間にどれだけの収入があったか、税金がどのように処理されてきたかを一貫して確認することができます。

 

特に年の途中で退職し、年末調整が未実施の場合や、新しい職場で年末調整を依頼する際には、必ず前職の源泉徴収票を提出する必要があります。

このため、早めに入手しておくことが、後の手続きをスムーズに進める鍵となります。

 

年末調整と確定申告の関係

源泉徴収票は、年末調整で従業員の1年間の所得税を最終的に計算する際に欠かせない書類です。

複数の勤務先で働いた場合は、各職場から源泉徴収票を受け取り、それをまとめて提出することで正確な税額が算出されます。

 

また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告が必要な人にとっても、源泉徴収票は基本となる資料です。

控除対象や支払調書の確認など、申告内容を裏付けるために提出を求められる場合が多いため、適切に保管し活用することが重要です。

 

電話での依頼方法と流れ

依頼する際の基本的な手順

  1. まずは会社の代表電話、または人事・総務部の番号を調べて電話をかけます。会社のホームページや退職時に受け取った書類などを参考に、正確な番号を確認しておきましょう。電話をかける際は、あらかじめ話す内容を整理しておくとスムーズです。
  2. 電話がつながったら、はじめに自分の名前をフルネームで名乗りましょう。旧姓で在籍していた場合は旧姓も伝えるのが親切です。その後、退職年月日や在籍していた部署を伝えることで、相手があなたの情報をすぐに確認しやすくなります。可能であれば、社員番号が分かる場合はそれも伝えるとよいでしょう。
  3. 続いて、「源泉徴収票の発行をお願いしたいのですが」と、用件を丁寧に伝えます。その際、郵送を希望する場合は「ご郵送でお送りいただけますと助かります」と付け加えると、やりとりがスムーズになります。また、電話の最後には「お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします」と一言添えると、相手への配慮が伝わりやすくなります。

 

必要な情報の準備

・氏名(旧姓がある場合は併記):フルネームを明記し、旧姓で在籍していた場合は必ずその情報も含めましょう。姓が変わっていると本人確認が困難になることがあります。

・退職年月日:西暦で明確に記載し、月まで正確に伝えるとスムーズです。可能であれば、退職届のコピーや退職証明書を手元に置いておくと安心です。

・在籍部署:所属していた部署名を正式名称で伝えましょう。異動歴がある場合は、最後に在籍していた部署を伝えると確認が容易になります。

・生年月日(本人確認のため):西暦で正確に伝えることで、同姓同名の別人と間違われるリスクを軽減できます。

・郵送先住所:郵便番号から番地、建物名、部屋番号までを漏れなく記載します。引越しをしている場合は、現住所と旧住所の両方を伝えると、行き違いを防げます。

 

具体的な依頼内容の例

「お世話になっております。○○年○月まで勤務しておりました○○と申します。源泉徴収票の発行をお願いしたくご連絡いたしました。郵送でお送りいただけますと助かります。」

 

電話のタイミングと時期について

退職後の適切なタイミング

退職から2〜3週間後が連絡の目安ですが、これは給与支払いが確定し、社内で源泉徴収票の発行準備が整うまでの時間を考慮した目安です。

年末調整の時期を過ぎている、あるいは確定申告が迫っている場合などは、可能な限り早く連絡を取るようにしましょう。

 

また、再就職先で年末調整に間に合わせる必要がある場合も、なるべく早めの手続きが望ましいです。

できれば退職時点で「源泉徴収票の郵送をお願いします」と一言伝えておくと、後の手続きがスムーズになります。

 

企業の対応時間に注意

電話をかける際は、企業の営業時間を考慮することが重要です。

特に、平日の午前10時~12時、または昼休み明けの13時~15時あたりが比較的つながりやすく、担当者も対応しやすい時間帯と言われています。

始業直後や終業間際は忙しい可能性があるため避けた方が無難です。

 

また、部署によっては曜日や時間帯で業務内容が異なることもあるため、事前に企業のウェブサイトなどで情報を確認しておくとよいでしょう。

 

即日発行の可能性とその条件

会社によっては、社内の体制が整っていれば即日で源泉徴収票を発行してくれる場合もあります。

しかし、多くの企業では社内確認や経理処理の関係上、数日から1週間程度かかるのが一般的です。

即日発行を希望する場合は、担当者にその旨を伝え、急ぎの理由(確定申告の期限が迫っている、年末調整に間に合わせたい等)を丁寧に説明すると、対応してもらえる可能性が高まります。

 

ただし、郵送になる場合は発送までの時間と配達日数も加味してスケジュールを立てましょう。

 

連絡先の選び方と注意点

前の職場の人事部門への連絡

可能であれば、前の職場の人事部や総務部に直接連絡を取るのが最も確実で迅速な方法です。

会社の代表電話にかけた場合は、用件を明確に伝えてから「人事または総務の担当者の方におつなぎいただけますか」と丁寧に依頼しましょう。

内線番号が分かっていれば、最初からそちらにかけると時間の短縮にもなります。

 

また、以前やりとりをしていた担当者がいる場合は、その方の名前を出すことでスムーズに話が進むことがあります。

 

電話以外の連絡方法

電話が苦手な方や、業務時間内に連絡が取りづらい場合は、メールや郵送、会社の問い合わせフォームなどの代替手段を活用しましょう。

メールでの連絡は記録が残るため、後の確認や再確認の際にも便利です。

郵送で依頼する場合は、簡易書留や追跡番号付きのサービスを利用すると、確実に届いたかどうかが分かります。

問い合わせフォームを使う際は、返信先のメールアドレスを正確に記入するよう注意しましょう。

 

拒否されるケースの対処法

まれに、企業側の事情や体制の問題から、源泉徴収票の発行を渋られるケースがあります。

しかし、法律上は従業員(元従業員)に対して源泉徴収票を交付する義務が会社にはあります。

正当な理由なく拒否された場合には、まずは再度丁寧に依頼の意思を伝えましょう。

 

それでも対応してもらえない場合は、労働基準監督署や税務署へ相談することも視野に入れる必要があります。

必要に応じて相談窓口や行政機関の支援を受け、適切な対応を進めましょう。

 

源泉徴収票の再発行について

再発行の手続きと必要書類

再発行を依頼する際は、会社によっては本人確認書類のコピー(運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなど)を提出する必要があります。

また、所定の再発行申請書への記入を求められることもあり、住所や連絡先、退職日、在籍部署などの詳細を正確に記入する必要があります。

 

これらの書類は郵送やメールでの提出となる場合が多いため、提出方法についても事前に確認しておくと安心です。

再発行には数日から1週間程度かかることが一般的ですが、繁忙期にはそれ以上かかることもあるため、余裕を持った依頼が望ましいでしょう。

 

紛失時の対応と注意点

源泉徴収票を紛失してしまった場合は、早急に前職の人事または総務担当者へ連絡を取り、再発行を依頼しましょう。

電話の際には、退職年月日や在籍部署、氏名、生年月日などの情報をスムーズに伝えられるよう準備しておくと手続きがスムーズに進みます。

 

また、源泉徴収票は法律により5年間の保存が義務付けられているため、退職から5年以内であれば再発行の対応が可能です。

ただし、企業によっては保管体制や社内ルールにより再発行に制限がある場合もあるため、早めの連絡が肝心です。

 

税務署での取得方法

前の勤務先がすでに廃業している、連絡が取れない、または再発行が困難な場合には、居住地を管轄する税務署に相談する方法があります。

税務署では「給与支払報告書」の写しを閲覧・交付してもらえることがあり、これを確定申告や年末調整の代替資料として使用することができます。

 

請求の際には、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)と印鑑を持参する必要があります。

事前に税務署へ問い合わせて手続きの流れを確認しておくとスムーズです。

 

依頼時の言いづらさを克服する方法

具体的な言い回しのテンプレート

「突然のご連絡失礼いたします。以前お世話になっておりました○○と申します。源泉徴収票を頂戴したく、ご連絡いたしました。」といった丁寧な言葉遣いを心がけることで、相手に与える印象が大きく変わります。

加えて、感謝の気持ちを添えて「大変お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします」といった一言を添えると、より丁寧な印象になります。

こうした配慮ある言葉選びは、対応してくれる相手に対して誠意が伝わり、スムーズな対応につながりやすくなります。

 

不安を解消するコミュニケーション

電話をかける際には、緊張してしまう方も多いかもしれません。

そのような時こそ、落ち着いて、過去に在籍していた時期や担当部署を明確に伝えることが大切です。

 

また、「以前は大変お世話になりました」といった感謝の気持ちを込めたひと言を加えることで、相手も親身になって対応してくれる可能性が高まります。

できる限り相手が答えやすいように、自分の情報は簡潔かつ正確に伝えるようにしましょう。

 

電話応対のポイント

電話をする際は、明るく、はきはきとした口調を意識することが大切です。

特に相手が初対面の方である場合には、第一印象が非常に重要です。

 

事前に話す内容や伝える情報をメモしておくと、緊張しても話が混乱することなく、落ち着いて対応できます。

必要事項(氏名、退職年月日、在籍部署など)を箇条書きにして手元に置いておくと安心です。

また、応対中にメモを取れるよう、ペンと紙の準備もしておくと良いでしょう。

 

前職の源泉徴収票がない場合の対処法

税務署からの情報取得

税務署で「給与支払報告書」の開示請求が可能な場合があります。

これは、源泉徴収票と同様に各企業が自治体へ提出している書類であり、会社が発行できない状況において有力な代替手段となります。

 

請求にあたっては、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)の提示が必要です。

税務署窓口での請求は、原則として本人が行う必要がありますが、必要に応じて代理人申請も可能なケースがあります。

事前に電話や公式ウェブサイトで確認し、必要書類や手続き内容を把握してから訪問するとスムーズです。

 

企業の倒産や破産の場合の対処

会社がすでに存在しない場合には、まず破産管財人の有無を調べることが重要です。

破産管財人が選任されている場合は、その事務所に連絡して源泉徴収票の再発行について相談できます。

 

ただし、破産処理の過程で書類が処分されている可能性もあるため、必ずしも取得できるとは限りません。

その場合は、税務署で「給与支払報告書」の写しを取得する方法が現実的です。

企業が法的手続きを経て清算済みで連絡手段がない場合も、最終的には税務署や自治体が情報を保持していることがあるため、あきらめずに問い合わせましょう。

 

失業保険の申請との関連

源泉徴収票がなくても、ハローワークでの失業保険の申請においては、退職証明書や離職票、給与明細などの代替書類を提出することで対応できる場合があります。

実際には、離職票が最も基本的な提出書類ですが、これが発行されていない場合は、雇用保険の加入履歴や勤務実績を証明するための書類として給与明細数か月分や、雇用契約書のコピーなどを活用できます。

申請先のハローワークによって求められる書類に若干の違いがあるため、事前に問い合わせて確認することをおすすめします。

 

メールでの依頼方法とその利点

メールで依頼する際のポイント

件名は「源泉徴収票発行のお願い」「源泉徴収票ご送付の件」など、内容がひと目で分かる明確な表現にすることが大切です。

メール本文では、挨拶とともに退職年月日や在籍していた部署、氏名(旧姓がある場合は併記)などの情報を整理して記載し、相手がすぐに本人確認できるよう配慮しましょう。

 

また、源泉徴収票の郵送先住所も忘れずに明記し、連絡先電話番号やメールアドレスも加えることで、確認事項があった際にも対応しやすくなります。

必要に応じて、再発行である旨や至急必要である理由を添えると、より丁寧な依頼文になります。

 

例文とテンプレートの紹介

「○○株式会社 人事部ご担当者様

お世話になっております。

○○年○月に退職いたしました○○(旧姓:△△)と申します。

源泉徴収票を郵送にて頂戴したく、ご連絡させていただきました。

下記に必要事項を記載いたします。

・氏名:○○ ○○(旧姓:△△ △△)

・生年月日:19XX年X月X日

・退職年月日:20XX年X月X日

・在籍部署:○○部

・郵送先住所:〒123-4567 東京都○○区○○1-2-3 ○○マンション101号室 ・電話番号:090-1234-5678

・メールアドレス:example@example.com

お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。」

 

メールの返信を待つ期間

通常は2~3営業日以内に返信があるのが一般的ですが、企業の業務状況によっては多少前後することもあります。

1週間以上経っても返信がない場合は、迷惑メールフォルダを確認するか、念のため再度同様のメールを送信してみましょう。

可能であれば、電話など他の手段で確認を取ると確実です。

 

必要書類の準備と注意点

提出が求められる書類

再発行時などには、本人確認書類や申請書が必要になるケースがあります。

本人確認書類としては、運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなどが一般的に受け入れられます。

会社によっては、これらのコピーを郵送またはメール添付で提出するよう求められる場合があります。

 

また、再発行申請書には、氏名、退職日、在籍時の部署、連絡先、現住所などの項目が含まれており、正確に記入することが求められます。

申請にあたっては、提出先や提出方法(郵送、持参、メール等)も確認しておきましょう。

企業によっては、所定のフォーマットが用意されていることもあります。

 

正確な記載方法と必要情報

氏名、生年月日、退職年月日、在籍部署などの基本情報は、正確かつ丁寧に記載することが大切です。

特に氏名については、旧姓から変更があった場合には、当時の姓と現在の姓を両方記載するとスムーズに本人確認が行えます。

 

また、退職年月日や在籍部署も、記憶があいまいな場合には、過去の給与明細や離職票などで確認してから記入しましょう。

誤字脱字があると書類の確認に時間がかかる場合があるため、記載後は必ず見直すことをおすすめします。

 

特に注意が必要なケース

旧姓で在籍していた場合は、必ず旧姓も明記し、現在の姓との関連性がわかるように記載しましょう。

引越しなどで住所が変更になっている場合は、旧住所と現住所の両方を伝えることで、記録の照合がスムーズになります。

同姓同名者が社内にいた場合や、在籍期間が短かった場合には、より詳細な補足情報(社員番号、雇用形態、在籍時の上司の名前など)を添えることで、確認が容易になり、発行までの時間短縮にもつながります。