親が子どもを全く褒めないスタイルと過剰に褒めるスタイル、どちらが育児にとってマイナスなのか、多くの親が考える課題ですね。
子供の成長には褒めることが効果的だとされていますが、適度なバランスが重要です。
このテーマについて、褒めることの重要性とその限界に焦点を当てて解説しましょう。
最近、「褒める」育児が子どもの自尊心を育てる手段として注目されていますが、「過剰に褒めること」が逆効果になる可能性についても議論があります。
一方、「全く褒めない」という方法も、子どもに否定的な影響を与えかねないという意見があります。
では、教育的観点から見た場合、「褒めすぎる親」と「全く褒めない親」のどちらが望ましくないのでしょうか？
「過剰な賞賛」の落とし穴とその種類
「褒めすぎ」の効果はその内容によって異なります。
褒める行為を２つのカテゴリーに分けて考えることができます。
一つは、子どもの行動を頻繁に認めること。
これは子どもが成長過程で獲得するスキルや努力を評価する形であり、一般的には肯定的な影響を与えるとされています。
もう一つは、行動や成果を不必要に大げさに褒め称えること。
この方法は注意が必要で、子どもが現実とのギャップを感じる原因となり得ます。
特に「生まれながらの才能」といった表現を使うと、子どもは努力する必要がないと誤解する恐れがあります。
適度な自信は養うべきですが、過信は将来的な課題を引き起こすこともあります。
親としては、子どもが努力の価値を理解できるように、バランスを取った賞賛が求められます。
「褒めない育児」のリスク
人は生まれながらにして承認を求める存在です。
親が子どもを全く褒めない場合、子どもは他者からの肯定を得られず、心理的な不安定さを抱えることになります。
幼少期に親からの正の反応を得られない子どもは、自己価値を低く見積もる傾向にあります。
私が運営するカウンセリングルームでは、成人したクライアントが幼少期に親から褒められる経験がほとんどなかったと感じることが悩みの一因になっている例が少なくありません。
教育上のデメリットはどちらに多い？
教育面で見ると、「全く褒めない」育て方は「過度に褒める」よりも多くの問題を生じさせる可能性が高いです。
これは、褒める行為が子どもとのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たすためです。
親が子どもを褒める際には通常、表情を和らげ、笑顔や明るい声色を使うことが多く、これが人間関係におけるポジティブな感情を引き出します。
このような肯定的な反応が欠如すると、親子間での感情的な障壁が生じやすくなります。
「褒める」ことの悩みと重要性
親はしばしば「どのように子どもを褒めるか」について悩むものです。
褒め方には「質」が求められ、単に褒めること自体だけでなく、その意図や方法も重要になります。
最善の褒め方は、子どもが何かを成し遂げた時や良い行動をした時に自然に行うことです。
これは子どもにとって、「自分の行動が認められている」という安心感を与え、次の目標に向かう動機付けにも繋がります。
また、褒めることによって子どものモチベーションを引き出し、感じる達成感や自信を育てることができます。
親としては、褒める際には子どもが自己肯定感を持てるよう心掛けるべきです。
「褒められずに育った」子どもの心理
多くの人が「褒められずに育った」と感じており、その経験が大人になっても影響を及ぼしています。
褒め方がわからず、「自分がそうだったから」と子どもを褒めるのを避けてしまう親も少なくありません。
このような背景からは、幼少期に感じた「もっと注目されたかった」「もっと関心を持ってほしかった」という思いが大人になっても残ります。
褒めることは、子どもに対する親の注目と関心の表れです。
褒められないことは、しばしば親からの関心が不足していると感じさせ、子どもの心に大きな空虚感を残すことがあります。
この欠如は、子どもの精神的成長にとって重要な障害となり得ます。
「褒めない」育て方についての立場
褒めない育て方が推奨されることはほとんどありません。
ただし、これは子どもの成果を不自然に過大評価することを意味するわけではありません。
子どもが大きな成果を挙げた際に「すごいね」や「天才だね」と賞賛するのは良いことですが、それ以上に、日々の小さな成長や変化に注目し、それを適切に評価することが大切です。
日常の些細な変化に目を向け、それを認識し言葉にして伝えることで、子どもは「自分のことを見てもらえている」と感じ、これが心の安定と自信に繋がります。
したがって、褒めない育て方は、子どもの感情の発展にとって不利であると考えられます。
褒めると褒めないの適切なバランス
多くの親が、子どもを褒めることと褒めないことの間で悩んでいます。
特に、「褒めないと子どもがモチベーションを失うのでは」と心配する一方で、「褒めすぎると子どもが甘えるのでは」という懸念もあります。
過度に能力を褒めると、子どもが自分の努力を必要としないと考えるようになり、努力する意欲を失う可能性があります。
これは避けたい状態です。
一方で、日々の小さな成長を正しく認識してそれを褒めることは、子どもの内発的な動機付けを促し、親子間の信頼関係を強化します。
たとえば、子どもが「ゲームの時間を自主的に短縮した」「用事がある時に呼ぶとすぐに応じた」「ちょっとした困難に直面してもぐっと堪えた」といった行動は、それが昨日よりも改善されたと感じるならば、その進歩をしっかりと認め、褒めることが重要です。
このような具体的な進歩を認めることで、子どもは自己効力感を高め、さらに良い行動を続けるための自信とモチベーションを得ることができます。
親としては、褒めるべき点とそうでない点を見極め、子どもにとって建設的なフィードバックを提供することが求められます。
褒めすぎと全く褒めない育児の影響 まとめ
子どもを褒めることに対して抵抗感を持つ親もいるかもしれませんが、「褒められないと子どもがやる気を失う」という心配は実際に起こり得ます。
子どもが自らを動機付ける能力を育むためには、大人になるまでの支援が必要です。
特に幼少期には、外部からの肯定的な反応によって前向きな姿勢や自己効力感を育むことが重要です。
子どもたちにとって、褒め言葉はただの言葉以上の意味を持ちます。
それは彼らが取り組んでいることへの肯定だけでなく、彼ら自身への信頼と愛情の表現です。
親が子どもを適切に褒めることは、子どもが自信を持って新しい挑戦に臨むための原動力となります。
この記事をお読みいただきありがとうございます。
親として子どもをどのように支えるかは、その子どもの未来に大きな影響を与えるため、慎重に考え、行動することが求められます。
