おでんにじゃがいもを入れると、ほくほくとした甘みが加わり、全体の満足度がぐっとアップします。
ただ、煮崩れやすい具材でもあるため「いつ入れるか」「どう扱うか」で仕上がりに大きく差が出ます。
この記事では、じゃがいもをおでんに入れる理由や最適なタイミング、下ごしらえ、だしとの相性、地域別のレシピまで徹底的に解説。
確実に美味しく仕上がるコツをまとめました。
煮崩れを防ぐ!おでんにじゃがいもを入れる絶妙なタイミング

じゃがいもをおでんに入れる理由とメリット
じゃがいもは、おでんのだしをしっかり吸い込み、ほくほく食感と自然な甘みをプラスしてくれる万能具材です。
特に男爵いもは、煮込むほどに中心がほどよくほろけ、だしの旨味を引き立てながらコクを深めてくれます。
また、メークインのように煮崩れしにくい品種を使えば、形を残しつつ味を染み込ませることも可能です。
じゃがいもは他の具材に比べて味が染みにくい性質を持つため、入れるタイミングや下ごしらえの工夫が重要になります。
適切に扱えば、おでん全体の満足度を確実に底上げしてくれる心強い存在になります。
おでんの具材による味の変化を楽しむ
大根や練り物など、具材ごとにだしの吸い方や味の滲み方が大きく異なります。じ
ゃがいもは油揚げやちくわぶ、はんぺんなどと組み合わせることで、より一体感のある味わいが楽しめます。
また、じゃがいもが煮込まれる過程で溶け出すデンプンがだしにほんのりとろみを加え、全体の口あたりを柔らかく仕上げてくれます。
これにより、濃厚すぎず優しい味わいのおでんにまとまり、子どもから大人まで食べやすい味に近づきます。
一緒に入れる具材のバランス
火が通りやすい具材(ちくわ・こんにゃく・はんぺんなど)と、しっかり煮込みたい具材(大根・卵・じゃがいも)をバランスよく配置することは、おでんを均一に美味しく仕上げるためにとても重要です。
じゃがいもは特に崩れやすいため、鍋の中央より少し上、強い対流が起きにくい位置に置くと煮崩れを防ぎやすくなります。
また、大根の近くに置くとだしがよく循環するため、より均一に味が染み込むというメリットもあります。
具材の配置を少し工夫するだけで、全体の仕上がりがぐっと良くなるのが、おでん作りの面白いポイントです。
じゃがいもを入れるタイミング
おでんの煮込み時間とじゃがいもの特性
じゃがいもは煮崩れしやすい反面、味を吸うまでに時間がかかる特徴があります。
一般的な煮込み時間は 30〜40分程度 が目安ですが、じゃがいもの種類や大きさによってはさらに時間が必要になることもあります。
たとえば男爵いもは火の通りが早く、中心まで柔らかくなるのも比較的早い一方、煮崩れしやすい傾向があります。
反対にメークインは形が崩れにくいため、もう少し長めに煮込んでも美しい形を保ちやすいです。
煮込みすぎると表面が溶けてだしにデンプンが流れ出し、濁りの原因になることもあるため、火加減に注意しながら煮るのが理想です。
また、煮込み中にじゃがいもを頻繁に触ったり、混ぜたりすると崩れやすさが増すため、鍋の中でそっと扱うことも大切です。
煮崩れのリスクを軽減するための順番
じゃがいもは 大根の次、練り物の前 に入れるのがベスト。
大根を煮る段階で鍋全体が十分に温まり、だしがしっかり循環するため、そのタイミングでじゃがいもを入れると味を吸いやすく、崩れにくくなります。
また、皮付きのまま入れるとより煮崩れを防げるほか、じゃがいもの風味もより豊かに残ります。
大きめに切る、または丸ごと使うことで、より煮崩れにくくなるのもポイントです。
さらに、鍋の中心よりもやや外側に置くと、強い対流を避けられ、煮崩れのリスクを一段と下げられます。
地域別のおでんレシピとじゃがいもの役割
北海道ではじゃがいもが主役級の具材として存在し、だしの甘みを引き立てる役割を担っています。
寒い地域だからこそ、ほくほくのじゃがいもが身体を温めるごちそうとして定着しています。
関西では昔ながらの薄味おでんが主流で、じゃがいもはあまり入れられませんでしたが、近年は“ほくほく系おでん”として若年層を中心に人気が上昇中です。
また、東北では大きめのじゃがいもを使って食べ応えを重視したおでんが多く、九州では甘めのだしとの相性がよいとされ、じゃがいもが自然な甘みを引き立てる存在になっています。
このように、地域によって味付けや具材の組み合わせが違うため、じゃがいもが入ることで生まれる個性やおいしさも地域ごとに大きく異なります。
じゃがいもの下ごしらえとポイント
簡単!下ごしらえの方法と手順
- 大きめに切る(1個丸ごとも◎)。さらに、同じ大きさにそろえて切ることで火の通りが均一になり、煮崩れを防ぎやすくなります。品種によっては丸ごと使うほうが味がしっかり残り、ほくほく感も際立ちます。
- 皮付きのまま水に5〜10分ほどさらす。こうすることで表面のデンプンが適度に落ち、煮汁の濁りを抑えられます。特に男爵いもは表面のデンプンが崩れやすさにつながるため、この工程はとても重要です。
- アクを取りながら、鍋に入れる前に切り口を軽く水で流しておくと、さらに雑味が減り、だしがクリアに仕上がります。皮付きのまま使うと煮崩れしにくく、香りも豊かに残るため、おでん全体の風味がワンランクアップします。
- 加えて、切ったじゃがいもを5分ほど空気にさらして乾かすと表面が引き締まり、煮崩れ防止にさらに効果的です。
レンジを使った時短テクニック
ラップでふんわり包み、レンジで 2〜3分加熱 しておくと、煮込み時間を短縮できます。
軽く火が入った状態で鍋に入れるため、煮崩れしにくくなるのもメリット。
さらに、600Wで3〜4分加熱すると中心まで火が入りやすく、煮込み時間をより効率よくコントロールできます。
ただし、加熱しすぎると逆に崩れやすくなるため、竹串が軽く刺さる程度の“半生状態”で止めるのが理想です。
また、ラップの中に少量の水を入れて蒸し状態にすると、内部がふっくら仕上がり、おでんに入れたときにだしがより染み込みやすくなります。
下ゆでの必要性とその方法
下ゆでをすると余分なでんぷんとアクが落ち、だしが濁りにくくなります。
鍋で5分ほど下ゆでしてからおでんに入れると、味がよりクリアに仕上がります。
さらに、下ゆでの際に塩をひとつまみ入れると、じゃがいもの下味がほんのりつき、最終的な仕上がりに奥行きが生まれます。
また、下ゆでしたじゃがいもは外側が引き締まり、煮込みの過程でも崩れにくくなるため、大量に作るおでんや長時間煮込む場合には特に効果的です。
おでんのだしとじゃがいも
おでんに適しただしの選び方
昆布+鰹節のベースに、薄口しょうゆとみりんを少量加えるのが定番。ただ、この基本のだしに加えて、砂糖をほんのひとつまみ入れるとじゃがいもの自然な甘みがより引き立ちます。
また、昆布だしを少し長めにひくことで旨味が増し、じゃがいもが吸ったときの味の奥行きがぐっと深まります。
じゃがいもは甘みを吸うので、やや甘めのだしと相性抜群。
だしとじゃがいもが互いに味を補い合い、おでん全体の満足度を底上げしてくれます。
じゃがいもがだしに与える味わい
煮込むことでじゃがいもの甘みとデンプンがだしに移り、全体がまろやかになります。
さらに、じゃがいもが少しずつ溶けることで生まれるほのかなとろみが、だしの舌触りをより優しく、まったりとした印象に変えてくれます。
濃い味のだしでも柔らかい印象に仕上がるため、味が強すぎる鍋の中和役としても優秀。
特に濃口しょうゆベースのおでんでは、じゃがいもが入ることで味のバランスが整い、全体が一体となった調和のとれた美味しさになります。
また、冷めていく過程でも風味が失われにくく、翌日の“味しみおでん”が格別に美味しくなる理由のひとつが、このじゃがいもの力です。
具材の相性を考えただしのレシピ
・関東風:濃い口しょうゆ×鰹だし/じゃがいもがコクを足す。味の主張が強いだしでも、じゃがいもが入ることで奥行きのあるまろやかさが増し、食べ応えもアップ。
・関西風:薄口しょうゆ×昆布だし/じゃがいもが甘みを引き立てる。見た目は透明感がありながら、じゃがいもがだしの旨味をしっかり吸い込み、上品な味わいに仕上がるのが魅力。
・九州風:甘めのだし×鶏ガラ少量/じゃがいもと抜群に合う。鶏のコクと甘めのだしが溶け込むことで、ほくほくのじゃがいもがよりリッチな風味になり、満足度の高い一品に仕上がる。
失敗しないおでんの作り方
煮込み時間の目安とコツ
全体の煮込み時間は 1時間〜1時間半 が目安。
ただし、具材の量や鍋の大きさ、火加減によって理想の時間は前後します。
じゃがいもは40分ほど煮ると味が染みてちょうどよい状態になりますが、より味をしっかり吸わせたい場合は、一度火を止めて“余熱でじっくり味を含ませる”方法もおすすめです。
また、煮込みの途中で何度も混ぜると表面が崩れやすくなるため、鍋を軽くゆする程度にとどめることがポイントです。
途中で面取りしておく、あるいは皮を少し残して煮込むことで、さらに煮崩れを抑えることができます。
弱火でじっくり煮るメリット
弱火は煮崩れを防ぐ最大のポイントであるだけでなく、各具材の旨味がだしへゆっくりと移り、おでん全体の風味を豊かにします。
じゃがいもは強火だと外側だけが急速に煮えて内部との温度差が大きくなり、形が崩れやすくなるため、最初から最後まで弱火〜中火で調整するのがベストです。
また、弱火でじっくり煮ることで、じゃがいもの中心まで均一に火が通り、食べたときのほくほく感がより際立ちます。
さらに、弱火調理はだしの風味を壊さないため、昆布や鰹の繊細な香りを最大限引き出せるというメリットもあります。
ちくわやこんにゃくとの組み合わせ
ちくわの旨味やこんにゃくの食感は、じゃがいものほくほく感と相性抜群。
同時に煮込むことで具材同士の旨味がだしに移り合い、全体が深い味わいになります。
特にちくわはだしにコクと甘みを足し、じゃがいもがそれを吸い込むことで、より一体感のある味に仕上がります。
こんにゃくは味が染みにくい具材ですが、じゃがいもと一緒に煮込むと適度にだしを含み、食感のアクセントとしても優秀です。
また、練り物から出る旨味がじゃがいもの甘みと混ざることで、翌日に食べる“二日目おでん”の美味しさがさらに増すという効果もあります。
じゃがいもを使ったおでんレシピ
おでんにじゃがいもを使った人気レシピ集
・皮付き丸ごとじゃがいもおでん:皮を残したまま丸ごと煮込むことで、旨味と香りが逃げず、内側までしっかり味が染み込みます。ほくほく感が際立ち、食べ応えも抜群。大きめサイズを使えば主役級の存在感になります。
・じゃがバター風おでんアレンジ:煮込んだじゃがいもに少量のバターを落とすだけで、一気にコクが増して洋風寄りの深い味わいに。だしの塩気とバターのまろやかさが調和し、おつまみにも最適な一品になります。
・牛すじ入りこってりおでん×じゃがいも:牛すじの濃厚な旨味がだしに溶け出し、じゃがいもがその味をしっかり吸い込むことで、満足度の高いこってり系おでんに。寒い季節にもぴったりのバランスです。
地域ごとのおすすめおでんレシピ
・北海道風:塩味が強いだし×じゃがいも大量。寒冷地ならではの濃いめの塩だしがほくほくのじゃがいもと相性抜群で、身体の芯まで温まる味わいに。
・静岡風:濃い口しょうゆ×黒はんぺん×じゃがいも。コクの深い黒だしと黒はんぺんの旨味が、じゃがいもの自然な甘みを引き立てる組み合わせ。
・関西風:薄味だしでじゃがいもが主役に。上品な昆布だしがじゃがいもの甘さを際立たせ、あっさりしつつもしみじみ美味しい一品に仕上がります。
具材のアレンジを楽しむ方法
・じゃがいもの種類を変える(男爵・メークイン)。男爵はほくほく、メークインはしっかり形を保つなど、品種で食感の違いを楽しめます。インカのめざめなど甘みの強い品種もおすすめ。
・ベーコン巻きじゃがいもで洋風おでん。塩味の効いたベーコンがじゃがいもに旨味を与え、だしにも深みが生まれ、和洋折衷の味わいに。
・味噌だれを後がけして名古屋風に。味噌のコクと香ばしさがじゃがいもによく絡み、濃厚な味わいが好きな人にはたまらないアレンジです。
まとめ:おでんにじゃがいもを入れる最適な方法
じゃがいもを使ったおでんの楽しみ方
じゃがいもは入れるタイミング・切り方・火加減で、想像以上に仕上がりが大きく変わる繊細な具材です。
どの段階で鍋に投入するか、皮を残すかどうか、火をじっくり通すか強めに入れるかなど、ほんの少しの違いが仕上がりに直結します。
これらのポイントをしっかり押さえることで、外側はしっとり、内側はほくほく、だしが芯まで染み込んだ満足度の高いじゃがいもに仕上げることができます。
また、ほかの具材との組み合わせ方やだしとの相性を意識すると、より一体感のある味わいが生まれ、おでん全体の完成度もぐっと高まります。
じゃがいもは決して脇役ではなく、扱い方次第で主役級に輝くポテンシャルを持った具材なのです。
次回のおでん作りの参考に
煮崩れを防ぎつつ、美味しいじゃがいもを楽しめるおでん作りを、ぜひ次回の食卓で試してみてください。
火加減や配置の工夫、下ごしらえのひと手間を加えるだけで、いつものおでんがワンランクアップし、家族やゲストから喜ばれる味にぐっと近づきます。
寒い日の夕食や週末のゆったりごはんに、今回のポイントを活かした“ほくほく味しみじゃがいもおでん”をぜひ作ってみてくださいね。
煮崩れを防ぎつつ、美味しいじゃがいもを楽しめるおでん作りを、ぜひ次回の食卓で試してみてください。
